-3- 読み始め〜坂田靖子

マンガレ、ニッッポン!1

 相変わらずやけくそぎみの上の一文です。本来「ガンバレ」なわけですが…人に向かって「頑張ってください」とは何様のつもりだ、余計なお世話だ、といったのは誰でしたっけ?丸谷才一だったような気がするのですが、実に記憶が曖昧です。さて、私は「頑張ってください」と言われるのは別段気になりませんし、嬉しいのですが、その丸谷才一(が書いたと思っている)の文章をみて以来、人に向かって頑張ってくださいということはほとんど無くなりました。しかしながら、「ガンバレニッポン」はイタダケません。命令すな!って感じです。最近何かにつけ「頑張れ」だの「頑張ろう」だのという精神主義がはびこっておりますが、はっきりいって頑張らんでえぇ。だいたい頑張る奴がいるから頑張らなくていい奴まで頑張らなくちゃいけなくなるわけで、世の中みんなが頑張らないようにたゆまぬ努力をすれば、もっと暮らしやすくなるでしょうに。って、頑張らないように頑張る必要があるのですが2

 ああ、話が大幅に違う方向にいってしまいました。今回は、段々と「少女漫画」を読むようになった頃のお話です。

 さて、私が家にある「少女漫画」を積極的に読むようになったのは坂田靖子の『闇夜の本』3を読んでからだったと思います。本棚にあったこの本を何故読んだのか、今となっては全く謎だったりするのですが、これがなかなか面白かった。で本棚を調べると結構坂田靖子の本がある。そう、『バジル氏の優雅な生活』4です。ところがこのころはまだ「少女漫画」の絵柄に慣れていなくて、人物の区別がつかず読むのに非常に苦労しました。バジルとアーサーの区別がつかないんですよ5
 でも人間慣れてこえばちゃんと区別がつくようになるものです。もちろん今では大丈夫です。今でも読んでることの方が大丈夫じゃないのか。

 彼女の作品は非常にたくさんあるので、どれを紹介しようか考えている内に日が暮れて、次の日の朝になってしまったのでやめましょう。…へたれですいません。昔の作品で好きなのは「ライム博士の12ヶ月」6。さえない博士となんだかよくわからないロボットみたいなのとの種族(っていか生物)を越えた交流。エクソシスト好きの神父(牧師だったかも…)さんがキャラたってたなあ。これも最後はやっぱりちょっと切ない。私の好きなのそんなのばっかです。あとは一つの巻でまとまっているものが思いつかないので紹介しづらいのですが…あ、『村野』7は短編集ですが印象に残っています。表題作以外話忘れてしまいましたが(そういうのは印象に残っているといっていいのだろうか8)。「バラエティ・ギフト」「花模様の迷路」9なども良かったなあ。

 近年の作品になるにつけ、どんどん「大味」に(画もストーリーも)なっていくのですが、相変わらず面白いです10。でも「バジル氏〜」の頃の異国情緒溢れる作品もまた読んでみたいと思うのです。

 余談ですが、私が「ホモ」という言葉を初めて知ったのは坂田靖子の作品でです。タイトルは覚えていませんが11、ブリッジに関する話(カードのブリッジと歯の矯正のブリッジにかかっている)で、登場人物がこの単語を使ったのです。まだ小さい頃ですから、こんな単語はもちろん知りません。当時知らない単語は親に聞いたものです。漫画のおかげで知識が増えました。良かった良かった。おしまい。

 こうして、坂田靖子の作品を読みあさる頃に、「少女漫画」に徐々にはまっていったというわけです。このころ他にも色々読んだような気がするのですが、あまり思い出せません。思い出したら順次書いていきたいです。次回は『花とゆめ』の話なぞ。ああ、やっと脚註の方が短くなった。

 って書いてから脚註が増えて、やっぱり同じぐらいか…。




 つづく



脚註:
  1. 「ガンバレニッポン」…これ、どういう時に使うんでしたっけ?バレーかな?あれは「ニッポンチャチャチャ」かしら。ガンバレニッポンも嫌いですが、ニッポンチャチャチャも品がなくて嫌いです。ちゃんと選手一人ひとりを応援すればよいのに、という考えなので違和感を感じるようです。ただし小道迷子の『風します?』12の羊たちは好きです。

  2. この辺、もう愚痴のような状態ですが、笑って許してやってください。今結構不安定なのです。

  3. 『闇夜の本』(坂田靖子,朝日ソノラマサンストロベリー)。「浸透圧」やトキとバンダの話、好きでした。いやそれよりも、3巻が出ていたなんて今知りましたよ!

  4. 『バジル氏の優雅な生活』(坂田靖子,花とゆめコミックス:現在は文庫化されている)。19世紀ダイエー大英帝国の貴族達のハイソな話。といっても坂田靖子なのでちょっとずれるか(その辺、波津彬子13の作品に似てるかも)。ヴィクトリア時代の英国人が植民地に対して抱いていたエキゾチズムと、それと裏腹の蔑視感情とがうまく表現されていたり。

  5. かき分けが区別つかない…いや本当に、最初の頃は人物の区別が付かないのです。時期は少しずれますが、星野架名の絵などはほとんど区別つかなかった…。星野架名といえば、非常にどうでもいいことなのですが、「ロードス島戦記RPG」14のGMをやる時に、「花とゆめ」の付録についていた星野架名キャラノートにシナリオを書いた覚えがあります。…本当にどうでもいいことだなあ。

  6. 『ライム博士の12か月』(坂田靖子,花とゆめコミックス)。本文中に書いたとおり、ライム博士と宇宙から飛来したロボットの接近遭遇。っていうか共同生活。この頃読んだ作品で他に好きだったものとしては「月と博士」「闇月王」など。

  7. 『村野』(坂田靖子,白泉社ジェッツコミック)。表題作「村野」は確か戦争にいく話(主人公かその友人かは忘れた)。ググッてみたところ、友人が戦場にいくとのこと。

  8. 先ほどの検索の結果の続き。「村野」他16編が収録されていて「村野」以外ゲイの話ばかりだそうで。ああ、それで印象深かったんだ。

  9. 『バラエティ・ギフト』(坂田靖子,秋田書店)。『花模様の迷路』(同,新書館)。どちらも短編集だったと思うが、花模様はどうっだったかしら。

  10. 例えば「黄金の梨」(秋田書店)とか「キムチ」「パスタ野郎」(ともに白泉社ジェッツコミック)とか。

  11. 確認したところ、まんま「ブリッジ」。…『エレファントマン・ライフ』(坂田靖子,白泉社ジェッツコミック)収録。先の『村野』ともども、収録作の多くはLaLaかJUNEで掲載された作品だったのね…

  12. 『風します?』(小道迷子,小学館 BIG SPIRITS COMICS)。そういえば最近この人の作品を読んでいません。

  13. 波津彬子…最近なら「雨月堂夢咄」が代表でしょうか。英国、物の怪、明治大正。

  14. 「ロードス島RPG」(安田均・水野良原作 高山浩とグループSNE)。出版は角川でいいのだろうか。覚えていません。中学・高校時代はテーブルトーク(TRPG)に興じてました。やっぱりD&Dが好きです。















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