4月5日、デモりに行ってきますということで、当日になったわけですが、雨です。風も吹いています。寒そうです。いやあ、行きたくないですね。止めたいですね!
でも日記に書いちゃった手前、そんなわけにも行きません。馬鹿なことを書いたもんだと後悔しつつ、とりあえず、前日酒を飲み帰ってきてすぐ寝てしまったので、朝風呂に入ります。体が温まったら眠くなるので朝寝。このまま大原庄助さん状態で寝過ごすのも手か。が、ちゃんと起きてしまったので観念して出かけます。
外に出ると、大粒の雨です。「お〜、すごい大きいな。大きすぎて粒が真っ白にみえるよ。」などと思ってよくみたら
足下がびしょびしょになりながらようやく駅につきまして、友人知人らと合流です。みな口々に「行きたくね〜」と言っています。ひぃふうみぃ…すでに二名が脱落しています。さもありなん。
電車の中でこの悪天候についての会話。「なんでよりによって今日こんな天気なんだ」「デモを妨害するCIAの陰謀だ」「天がアメリカの不正義を嘆いているのだ」「花見をするなという神の啓示に違いない」などと、何とか自分を納得させようとしています。ちなみに今の発言は最初のを除いて全部私一人のものですが。さて、原宿駅につきます。すごい人だかりです。プラカード持っている人がいっぱいいます。なんかヘルメットかぶっている人達もいるよ(顔を隠していないからソレな人達ではなさそう…)。
会場についたのが13時ちょっと過ぎ。だいたいデモの前には集会がつきもの*1のようなのですが、今回のは午前中に済まされていて、午後は直ちに「パレード」に。集会がなかったのは、隣でやっているサーカスに配慮してのことらしいです(命がけの芸をやっているところにでかい音を出しますと、冗談抜きで団員の命に関わりますので)。
ちなみに今回の参加者は主催者発表で1万8千人。警察発表で5200人。…いくらなんでも差が大きすぎます。どうなってるんだろう?ざっと観た感じ1万ぐらいはいたようですから、やはり1万2〜3千人といったところでしょうか。こんな雨の中よくもまあ、一万人も集まるものですねぇ。ちょと感動。それはともかく、会場についた時点で靴は完全に水浸しです。風は激しく、傘が飛ばされそうになる時もあります。手袋をしていても感覚が麻痺してきます。以前雪の日に参加した時は周りの人達はワンカップ大関飲みながら待機していて、寒くてやだなあ、と思ったものですが、そんなもんじゃないですね。我慢大会みたいです。近くにいたお婆さんが、墨で布切れに書いた抗議文をレインコートに貼ってくれとセロテープを差し出してきました。私は剥がれないでくれと祈りながら、べたべたとテープを貼っていきます。確かに若い人が多いのですが、お年寄りの方も結構いらっしゃいます。この天候の中、大丈夫なのかと心配になります。
こんな感じで一時間以上待ったでしょうか。この時間が一番きつかったです。どうも最近は警察の方が「パレード」に際し、人数を小出しにして出発させるよう指導しているらしいのです(300人ずつ)。それじゃいくらなんでも時間がかかりすぎますね。もう少し何とかならないのかしらん?そうそう、この待ち時間で笑ったのが、雨の中「雨合羽あるよ〜雨合羽あるよ〜」といいながらそれを売り歩くおじさんの存在でした。
ついに出発の時が来ます。声を出して動かないことには寒さに耐えられませんので、勢い私も声を出し続けます。雨とはいえ、往来をでかい声出して歩くのはやはり気持ちのいいものです。ずぶ濡れなんて気になりませんね!一瞬だけは。また、以前喉をからしてしまった失敗をふまえて、腹から声をだすようにしました。おかげで前ほどは喉をつぶさずにすんだのですが、本日腹筋が筋肉痛。
さて、かけ声*2と言えば、「○○・反対」などをよく聞くわけですが、最近は「○○・やめろ」なども。「○○・反対」はそれぞれが二拍子なので誰でもいいやすいものですが、「やめろ」は、同じ二拍子でも「や・め・ろ」が三連符のため、年輩の方は言いづらい*3らしいのです。ちなみに最近のイラク侵略戦争に対する反対デモ*4でよく登場する "No More War" はWarの後一拍休止する必要があります。するとWarの部分で前に出ている足が最初と反対になってしまい、ゆっくりめに歩いているとタイミングが取りにくいはずです。ですから小刻みに飛び跳ねる感じで歩いたほうがリズムをとりやすそうです。ただ、今回私の周りでは"No More War"は聞かれず、専ら"No War"でした。これも単語が短いので小刻みに動いた方が言い易すく、実際自分が"No War"を連呼する時にはスキップした方が楽でした("No War"は行進に向いているっぽい)。
ところで長い隊列には様々な団体がおりまして、私たちのように個人参加の人達が多いところもあれば、労働組合が固まっているところ、世が世ならサングラスしてヘルメットかぶってるような人達の多いところなどバラエティに富んでいるわけです。で、中には警察に目をつけられている不幸(?)な団体などもありまして、そういうところはもの凄い数の警察官と公安の方々(あの、税金を使って顔写真をとってくださる人達です)がエスコートしてくれています。私のいたところのずっと前の方にそういう団体がいらっしゃたので、逆にこちらの方の警官の方々は比較的少なく落ち着いていたようです。
それでもやはりこんなに寒いと交通整理している警官の方々も大変だったと思います。とくに、先に書いたように最近は神経質なまでにやたらと列をぶつ切りにしたがるようですし、歩く邪魔をされたりもするようです。
警官は、早く歩こうとする私達(女も男も)の身体を触りながら阻止し、「ルールを守ってやれ」「誰のおかげでデモができると思ってるんだ」「言うことを聞け」と言い続けていました。「どういう法的根拠があるのか?」と聞くと、「私が憲法だ」と意味不明の発言をする警官までいる始末。(from [aml 33473])
おまわりさんもだいぶテンパッております。…今上の文章の「誰のおかげでデモができる」って所を読んで、婚姻届を出しにいって「誰のおかげで結婚できると思ってるんだ」と曰う市役所の職員を想像して笑ってしまいました。
こうして一時間半ほどかけて渋谷駅〜青山通り〜表参道〜代々木公園を廻ってまいりました。大層疲れましたが、充実した1時間半でした(待機の1時間は苦行)。私たちは互いに「今度雨が降ったら絶対参加しないぞ!」と誓い合い、酒を飲みに街に消えていきましたとさ。めでたしめでたし。
2003年4月6日 まかまか
あのお婆さんが無事に歩き通されたことを心から願って
追記:私は往来で大声を出したい、ということと、不特定多数の人に笑ってもらいたい、ということを目的に参加していますので、実際デモについてはよくわかっていません。ですから、この言葉はおかしいぞ、とか、この話は歴史的に間違っているとかいうツッコミが入ってもどうしようもないのでご了承ください(そういった指摘自体は今後の参考になりますので大歓迎です)。もっともそういうやたら詳しい方がこのサイトを見ているはずもないでしょうけど。
註1:「デモ」といった場合には、集会も含めると思いますが、私の興味の範囲が街頭行進なので、ここでは「デモ」をそちらの意味で使っています。なお、近年は街頭行進を「パレード」と呼ぶようです。って、近年からしか参加していませんので昔なんて言ってたのか知りません。たぶん「行進」でいいのかな?ちなみに諸外国では「マーチ」だったりするそうで。
註2:かけ声についても、どんなのがあるのか全然わからないのですが、「○○〜××〜 はんた〜い〜」(○○××には「消費税」「増税」、「マル優」「廃止」、「カスミン」「放映時間変更」などあなたが主張したいことを入れてください)というシュプレヒコールと、お祭りでやる「ワッショイ・ワッショイ」のリズムに合わせるかけ声(本当はなんていうのか知らない)をよく聞きます。本文中の「○○反対」は「ワッショイ・ワッショイ」のそれ。
註3:例えばこんな意見 。もっともこの方が年輩かどうかは知りません。
註4:欧米はもとより韓国ですらちゃんと「戦争を支持するデモ」や「戦争反対デモに反対するデモ」があると聞きます。やはり日本はデモに関して元気がないのかしらん?