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「ベルリン陥落」について

 先日ブッシュ大統領が突然イラクに現れたとのことですが、それを聞いて何故か昔見た映画「ベルリン陥落」(Падение Берлина)を思いだしてしまいました。というわけで、今日は「ベルリン陥落」についてのお話です。  とはいうものの、この映画を見たのは今から6〜7年前のことなので、記憶違いも多々あるかも知れませんが、まあ、気にしないということで。(2003-11-30)

「ベルリン陥落」

 この作品は1949年のソ連映画で、日本では1952年に公開されたそうです。内容はというと、社会主義への賛歌、戦争と平和、恋に悩む若者達が織りなす愛と感動の物語でして、かいつまんでいうと「ソ連のプロパガンダ映画」です。

 時は第二次大戦前後。社会主義の理想に燃えるソヴィヱート連邦のとある街。主人公はやや小太りぎみの青年労働者。近所でも評判の働き者です。頑張って、頑張って、頑張って働いた結果、とうとう勲章を授与されることになります。

 さて、この主人公は娘さんに恋をしています。とはいえ、なかなかうまく告白することができません。そうこうしているうちに表彰を受けるためにモスクワに行くのですが、そこで畑を耕す岡田真澄、もといスターリンに出会います。何やってるんだ?スターリン。感激する主人公。

 再び恋の悩みで悶々としている主人公。そこに木の陰から「ひょっこり」とスターリンが登場します。突然現れたスターリンに感激する主人公。スターリンは恋に悩む主人公を叱咤激励します! 何やってるんだ?スターリン。なお、このシーンを見て友人は、恋愛相談に応じる「小粋なスターリン」と表しておりました。

 ま、それはともかく、表彰を受け、スターリンに励まされ自信をつけた主人公は娘さんとよい仲になります。ところが一転、不可侵条約を破棄してドイツがソ連に侵攻してきます。お約束通り、娘さん、ドイツ軍に連れて行かれます。それを知った主人公はドイツ軍と闘うため赤軍に志願します。

 迫りくるドイツ軍。調子に乗って恍惚状態のヒトラー。しかし”偉大な”スターリンの指導のもと、反撃が始まります。ドイツ軍を押し返し、ついにベルリンまでたどり着いた主人公。国会議事堂前での攻防戦。ついに決着がつき、ベルリン陥落。と、同時に空の彼方から一機の飛行機がやってきます。

 飛行機は国会議事堂前の広場に降り立ち、タラップから現れたのは、スターリン。すると突然、広場は解放された各国の人々で溢れかえります。どこにいたの? 彼らは各国の言葉で口々にスターリンを讃えます。私が覚えているのは「ビバ、スターリン」だけですが。

 そしてそのままスターリンの演説。「やっぱり平和が一番だね」(てな趣旨)。 かくして、主人公スターリンによって恋の悩みは解決し、主人公スターリンによってドイツは破れ、そして主人公スターリンによって世界は平和になりましたとさ。おしまい。ちなみにこの時、元主人公の青年は娘さんと感動の再会を果たしています。

雑感

 さて、今から見れば、ツッコミどころ満載で大笑いするだけの「ベルリン陥落」ですが、日本に入ってきた当時は、全国各地で「『ベルリン陥落』を上映しよう」という運動が起きたのだそうです。当時の人達がソ連に対して持っていた憧れや理想を考えると、むべなるかなという気もします。また、下の参考にあげているページにもありますが、プロパガンダ映画が人々に受け入れられるのは、その素地や背景があるのであって、それらを捨象してバカにしてしまうだけで終わり、というのは避けたいものです。っていうか、形を変えてるだけで、今でもプロパガンダなんて垂れ流しですしね。何とはいいませんが……

 冒頭の話に戻りますが、突然「ひょっこり」イラクに現れたブッシュ氏と、この映画の小粋なスターリンがだぶったのが、「ベルリン陥落」を思い出させた要因だったのかもしれません。

 下記リンクにて、一応おおまかな流れがあっていることは確認しましたが、上記の粗筋には記憶違いが多々あるかと思います。ご容赦ください。

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